穏やかな春秋の季節、旬の食材を使った婚礼料理で招待客をおもてなしする。
これが、昔から伝わってきた日本の婚礼のスタイル。
子供の頃、『今日はお嫁さんがくるよ』と母親に手をひかれて見に行った大安吉日の日。そこには、日頃からお付き合いのあるご近所を巻き込み、凛とした中にも幸せな時間と空間が満ちていました。
残念ながら、最近は全くそんな雅な光景や、情報すら耳にすることがありません。
花嫁姿を間近で見た小さな女の子たちの将来の夢は、「綺麗なお嫁さんになること」だったと記憶しています。結婚に対する、愛らしい想いがありました。
いろんな文化を受け入れることのできる器用な日本人。
西洋の婚礼文化の表面的な部分だけを取り入れるのではなく、日本の伝統的な婚礼儀式や行事を行う中で感じることのできる、「家族愛」や「家と家の絆を大切にする気持ち」は、なくしてほしくありません。
最近の日本の婚礼スタイルや結婚式に至るまでのプロセスには、その「心」が薄れてきているように感じられてなりません。
今はなくなりつつある婚礼文化にまつわる話題や、しきたりを伝えていくことで、古き佳き日本の心を取り戻し、そんな絆を深めていけるような社会になるよう努めることが私達の使命だと思っています。
そして、縁あって結ばれるお二人が、生涯共に歩んでゆくために、少しでもお役に立ちたいと願っています。
平成25年8月吉日
坂井 浩明