第1回「のみのな」メニュー
前菜 吹きたちと梅貝の和え物
打豆とくみ湯葉の合い混ぜ
いもぬたチーズ風味
えびすの利休みそ鞍掛け
鮎のかす漬け博多大根
いもぬたは、サツマイモの茹でたものと焼いたものを
「ぬた」で和えた料理。
浄土真宗の信仰にあついこの地域では、親鸞聖人の命日に
その徳をしのぶ報恩講で、よく振る舞われました。
「ぬた」で和える料理法は江戸時代以前から行われていて、
その頃の「ぬた」は酒粕をすり、酢や塩を加えて練ったもの
だったといわれています。
造り 鱈のこつけ しょう油ムースとポン酢ムース
魚を刺身として生で食べるようになったのは室町時代から。
魚の卵や塩や酒などで味付けして煎りほぐし、
刺身にまぶして付ける「子付け刺身」もその頃から
食べられていました。
今ではしょう油をつけることが多いですが、江戸時代の
後半になるまでしょう油が高価だったことから、
煎酒(酒やみりんなどを煮詰めた調味料)や山葵(わさび)酢、
酢味噌などが使われていました。
厚物 丸芋とれんこんのとろろ鍋
能美の特産品は・・・、
8代将軍・徳川吉宗の時代に、幕府の命令によって加賀藩が
作成した古文書「郡方産物帳(こおりかたさんぶつちょう)」に
当時の能美郡の産物、約1300種類が書き上げられています。
それぞれ分類され、作物名、品種名、収穫時期や見た目の特徴
などが書かれています。
この中には、現在の能美地域の特産品であるお米はもちろん、
柚(ゆず)や柿、いちじく、かぼちゃ、ナスなどが見られます。
ご飯 ささぎ豆と雑穀米の菜の花ご飯
ささぎ豆 は小豆と同様、もち米に混ぜて蒸すと赤くなる
ことから、お祝い事などで供える赤飯に使われました。
小豆は皮が薄く、火を通すと豆のはらが破れてしまうため
「切腹」を連想させるとして、武家の赤飯には皮の厚い
ささぎ豆が使われたといいます。
雑穀米は、米をめったに食べることができなかった江戸時代の
農民の大事な主食でした。
この地域でも、粟・稗(ひえ)・大豆・黍(きび)・麦・蕎麦などが
約100品種ほど作られています。
汁 鱈のアゴ汁 清し仕立て
鱈(たら)は江戸時代の料理書にも多く登場し、
鯛や鯉などと並んで格の高い人気のある魚でした。
北陸の代表的な魚の1つで、江戸時代には前田家より
大奥へ献上されていました。
この近海でも「まだら」や「きじだら」がよく採れたようです。
水物 フルーツの塩糀ヨーグルトソース
これから「のみのな」を通じて、能美地域の豊かな歴史・食文化の
発信と、新たな地域文化の創出を目指します♪
≪参考文献≫
・元文3年(1738)「郡方産物帳」一能美郡(盛永俊太郎 安田健編
『享保元文 諸国産物帳集成 第T巻 加賀・能登・越中・越前』
科学書院1985)
・松下幸子『図説江戸料理事典』(柏書房1996)
・喜田川守貞著 宇佐美英機校訂『近世風俗志(守貞謾稿)』
(岩波書店2002)
・陶智子『加賀百万石の味文化』(集英社2002)