加賀蓮根を楽しむ
加賀野菜のひとつ「加賀蓮根」を主役や脇役として登場させた三品が、夏を彩ります。いずれも加賀蓮根が持つ独特の粘りや歯ざわりを引き出した献立です。冷し煮物鉢は、加賀蓮根を花形にむき、小芋や人参と同じく田舎煮風に焚きました。北陸の郷土料理である「えびす」は、玉子と針生姜を寒天で固めたもので、生姜のさっぱりとした風味は身も心も引き締めてくれるようです。ボイルしてから芯を抜いた管牛蒡とともに、ひんやりとガラス鉢に盛りつけました。
蓮根のいとこ煮は、薄味をつけた蓮根とやわらかくゆでた小豆とを一緒に焚きあげました。ほんのりとした甘味が全体に広がり、蓮根の歯ざわりと小豆の旨みがバランスよく重なり合う一品です。蓮根のきんぴらは、牛蒡のきんぴらとは違った独特のもちもち感を味わうことができます。歴史も古く、味わいも特徴的な郷土の食材・加賀蓮根の名演ぶりをそれぞれの形でお楽しみください。