秋の宝楽焼き
高く澄んだ空には秋色の風物が映えて、時の移ろいを鮮やかに描き出します。彩りの美しいこの季節は、旬の焼物を宝楽盛りにしました。赤とんぼをイメージした車海老は、のし串を打って塩焼に。刺身にもできる新鮮な車海老は、火を通すと甘味が増して、味わいが深まります。傍らでは、オーブンで奉書焼にした松茸が香り立ちます。海の幸のかますは栗を添えて丹波焼に。丸十は銀杏芋に。銀杏は松葉刺しに。まるで山里を歩いているかのような風景が広がります。
銀杏のすり流し椀
椀物は、銀杏をすり流しにしました。色づき始めたばかりの葉にも似たほんのりとした黄色は、やわらかな秋の陽ざしを思わせます。火を入れてペーストにした銀杏は、鰹だしで割り、かくし味にバターを入れてコクを出しました。中央の萩白玉の中には海老が入って、味わいを豊かにしています。淡黄のじゅうたんが広がる中に咲く鹿鳴草―。そんな景色を思い浮かべながら、秋の風情とともにお召し上がりください。